HD25 SP-Ⅱ


発売から20年の歴史を持ち、名機と言われる「HD25-1Ⅱ」を買うつもりで出かけたのですが、
実際にe☆イヤホンさんで視聴したところ、廉価版のこちらの方が気に入ってしまい、急遽予定
変更でこちらを購入。アディダスカラーの「HD25 Originais」も格好良かったんですが・・・。


というか、まずこの外見ですよね。


各方面のレビューサイトで言われているように、アルティメイト安っぽい。
正直なところ、100均で売ってても納得できるような安っぽさです。
箱の中身も「本体」「標準変換プラグ(ネジ式)」「取説」のみ。


持ち上げた時の異様な軽さに加え、バンドには接合のバリが残っているし、頭頂部のパッドは
ホームセンターで売ってる戸当たりテープ(安いやつ)を貼っただけみたいな簡素さ。


イヤカップを爪で叩いたときの「カラカラ」という乾いた音は、驚きさえ与えてくれます。
イヤパッドもパサパサ。全体の華奢(きゃしゃ)な構造も相まって、近年稀に見る貧相さです。
人で現すなら、「飲まず食わずで1週間過ごした洞窟探検家」という表現がピッタリかと。


普通に考えると、この外観で定価27,000円は絶対ありません。
一歩間違えば詐欺レベルとさえ言えます。


しかし、このHD25 SP-2は、そんな外観からは全く想像できない「濃い音」を出すのです。


一言で表すなら、「ドでかいマグロの下にシャリが隠れている寿司」といった感じ。
主役は低音で、中高音は脇役といった印象を受けます。ドンシャリならぬ「ドン」です。
デノンAH-D1100のような響きのある「ドゥン」という低音ではなく、味付けをせずに、鼓膜に
直接エネルギーをぶつけてくる「ドン」「ボン」です。


やはり音の広がりといった部分では、同じゼンハイザーのHD500シリーズに劣る印象を受けます。
しかし、音を凝縮して、一点集中で放つような「濃密な音」が楽しめます。


低音の主張が非常に強いため、中高音は埋もれているものの、個々の音はハッキリとしているので
聞き取るのは容易です。(イコライザで中高音を引っ張ると、面白い音になります。)


純粋な音楽鑑賞を求める方には恐らく不適です。しかし、「楽しい音楽」を聞かせてくれるのは
間違いありません。メタルやロックにはイイですね。


ゲーム向きかどうかは微妙ですが、サウンドブラスターでバスブーストを効かせた状態でMW3を
プレイしたところ、ニューヨーク沖で潜水艦を爆破した後に海上に顔を出した瞬間、


「大気が揺れました」



楽しいヘッドホンです。やっぱり凄いよゼンハイザー